体重は健康のバロメーターの1つです。近年、健康志向はますます高くなる中ダイエット食品も多数陳列されています。特に痩せたい人にとって真っ先に思いつくのは低カロリーな食事だと思います。
その証拠にダイエット飲料をはじめとするダイエット食品が人気を博しているのではないでしょうか。
今回はダイエッターにとって「低カロリーなのに甘い」そんな二つの欲求を満たしてくれる人工甘味料について調べました。
ダイエットしているんだけど甘いものを食べたくて食べたくて・・・カロリーゼロなら食べてもいいの?
ダイエットを謳うカロリーゼロの食品にはメリットとデメリットがありそうですね。一緒に見ていきましょう!
甘味料とその特徴
「甘味」は2種類の甘味料に分かれます。甘味料は食品を甘くするためのもので糖質系甘味料と非糖質系甘味料に分類されます。
糖質系甘味料
【特徴】
天然由来の糖質のものが多いのですが一部天然の甘味成分から人工的に抽出したものは人工甘味料となります。カロリーや甘味度は砂糖と同等か、やや低いです。また糖アルコールの甘味料以外は虫歯にもなりやすい特徴があります。
非糖質系甘味料
【特徴】
いわゆるカロリーゼロの食品に使われる甘味料で天然甘味料と人工甘味料に分けられます。甘味度は砂糖の200倍~800倍にも及びカロリーも1g辺り0kcalのものやカロリーは砂糖と同等にあるが甘味度が強いため少量の使用でカロリーを抑えられるのでダイエット用として使用されています。また、虫歯にならないということも特徴です。
虫歯にならないのは点数高いわね!
有名なキシリトールも甘味料なんだよね。
砂糖と人工甘味料の違い
砂糖と人工甘味料の大きな違いは血糖値の変化と言えます。
砂糖はブドウ糖に分解され消化管で吸収されます。消化管から血管内に入り「血糖値」が上がります。
血糖値が上がると膵臓から「インスリン」が分泌されブドウ糖は筋肉などに吸収されます。活動によって使われることのなかったブドウ糖は脂肪となり蓄積され「太る」ことになります。
一方人工甘味料にはブドウ糖は含まれていないので血糖値は上がることがなく、インスリンも分泌されません。よって脂肪として蓄えられることもないのでダイエットに適していると言われるのです。
太るカギは血糖値!急激な血糖値の上昇は太るばかりか糖尿病のリスクも上がるよ。
人工甘味料が体にもたらす影響
ダイエットに適していると思われる人工甘味料ですが歴史は浅くまだ研究で多くのことが分かっていません。また、2023年5月にWHOから「人工甘味料の使用に関するガイドライン」が公表され人工甘味料の健康に対する影響の研究成果がまとめられています。
- 減量効果について: 数か月の短期間の使用では人工甘味料の使用が多いほうが減量効果を認めたが年単位の長期使用では人工甘味料の使用量が多いほうがむしろ体重増加を認めた。また、砂糖の代わりに人工甘味料を使用する場合にのみ減量効果が認められ、人工甘味料の使用による減量効果は摂取カロリーが減ったことによる影響が考えられた。
- 身体的影響: 年単位にわたる人工甘味料の使用は長期的な影響として「糖尿病」「脳卒中」「心筋梗塞」などの心疾患また死亡の危険が高まることが報告されている。しかし人工甘味料は糖尿病や心血管疾患の危険因子となる血糖値や血清脂質などへの直接の影響は認められない。
- 小児への影響: 小児については減量やう歯(虫歯)の予防が報告されている。妊婦においては早産や出生児のアレルギー疾患との関連について報告されている。しかし報告件数が少なくその健康影響はまだ十分明らかではない。
えぇ!なんだか思っていたよりリスクの疑いもあるのね・・・
短期的に、なおかつ砂糖の代わりにするのはいいけど長期間の摂取は逆効果かも。
危ない?人工甘味料アスパルテーム
アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)は
2023年7月に国際がん研究機関が「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」と発表しました。アスパルテームはこれまでの疫学研究の結果から肝臓がんや乳がん血液のがんと関連している可能性が報告されています。
その一方で食品添加物専門家会議では許容一日摂取量が体重1㎏40mlとされているので(体重50㎏の人なら2,000mlとなる)これは500mlのダイエット清涼飲料水8~12本に該当すると答えています。
人工甘味料のリスク
最近では人工甘味料によって糖尿病の発症リスクが高まると言われています。
ダイエット清涼飲料水(ダイエットコーラを代表とするジュース)は血糖値の上昇やインスリンの分泌には直接影響を与えないものの味覚刺激や腸内フローラ(腸内細菌)への変化をもたらし糖代謝に影響することが考えられています。
血糖値が上がらないのになぜ糖尿病のリスクが上がるのかについては、人工甘味料では血糖値が上昇しないため満腹中枢の恒常性も変化し、かえって摂食行動が促進されて太りやすくなっていると考えられています。
もう一つは砂糖の何百倍の甘さに感覚が鈍くなり、さらに甘いものを摂取する可能性も指摘されています。
また最近ではスクラロースとサッカリンは腸内フローラが乱れブドウ糖不耐性(ブドウ糖が適切に処理されずずっと血糖値が高いこと)へ近づけたことが分かりました。(ステビアとアスパルテームには見られなかった)この状態が続けば体重増加や糖尿病のリスクが上がるということです。
とはいえ研究は近年始まったばかりでどの結果もまだ論争は続いています。
直接血糖値に作用するわけではなく色々な要因が重なって
結果的に糖尿のリスクも上がるわけね。
表面だけとらえていては本質が分からないってことね。
まとめ
・非糖質系甘味料には「天然甘味料」と「人工甘味料」がある。
・人工甘味料は短期的に摂取する場合や砂糖の代わりに使用した場合にだけ減量効果があり長期間使用した場合は逆に体重増加傾向が見られた。
・長期的な人工甘味料の使用は「糖尿病」「脳卒中」「心疾患」のリスクが伴う恐れがある。
・甘味料は虫歯に対してはメリットが大きい。
・アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)は国際がん研究機関が「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」と発表され、許容一日摂取量がある。(体重1㎏に対し40ml)
・人工甘味料は「腸内フローラの変化」「満腹中枢の恒常性の変化によって摂食行動の促進」「甘いものへの鈍麻」などの理由により糖尿病へのリスクがある。(研究によっては砂糖を摂る群より1.7倍のリスクがあるという報告もある。)
・まだそのリスクの信ぴょう性は研究途中
以上の事から言えるのは人工甘味料を積極的に取り入れようとする方は「清涼飲料水が好きだけど砂糖の量が気になる」「甘いものを食べたいけどカロリーが気になる」という方がほとんどではないでしょうか?つまり砂糖(甘さ)依存と言っても過言ではありません。この砂糖依存(シュガーホリック症候群)から抜け出さないと糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクはついて回るのかもしれませんね。
甘いもののカロリーさえ0にすれば痩せると思っていたわ。
考えが甘かった・・・甘いものだけに。
まずは清涼飲料水を減らして一汁三菜を心がけてみてくださいね。
【参考資料】独立行政法人農畜産業振興機構「人工甘味料の使用に関するWHOガイドラインについて考える」より https://www.alic.go.jp/